カスタムヘッダーを使ったJavaScriptによるCSRF対策 (X-Form, X-Requested-With, X-Requested-By など)
本記事では、JavaScriptでAPIなどへの通信をする際にCSRF対策として、カスタムヘッダーを使った方法について解説しています。
この記事を書いている僕は、フロントエンドのプログラマー(フリーランス)として、これまで4年ほどのWeb制作経験があり、Vue,React,Nuxtなどフロントエンドの開発を得意としています。
この記事を読むことによって、カスタムヘッダーを使ったCSRF対策をしたJavaScriptによる通信の方法がわかるようになります。
カスタムヘッダーを使ったJavaScriptによるCSRF対策 (X-Form, X-Requested-With, X-Requested-By など)
CSRF対応はトークンによる対策が有名ですが、Cookieやトークンを使わずにステートレスにCSRF対策を行う方法で、カスタムヘッダーを利用してpreflightリクエストを必ず飛ぶようにして対策する方法があります。
サーバーサイド → preflightリクエストの内容を見て、Origin、カスタムヘッダーの内容などからレスポンスを返して制御する
ちなみに、ここで使うカスタムヘッダーの「X-Form
」「X-Requested-With
」「X-Requested-By
」による違いによる対策の効果に違いはありません。
結論としては、フロントエンドではリクエスト時にカスタムヘッダーを利用してpreflightリクエストを飛ばすようにして、サーバー側でpreflightリクエストのヘッダーを確認することによって正規のリクエストかどうかを判定して、CSRF対策をすることが可能となります。
Preflightを使ったCSRF対策の仕組み
CORSについての仕様をまず理解する必要があるので、CORSが分からない方は「【CORS】JavaScriptにおけるCORSやPreflightを理解する」の記事をどうぞ。
徳丸先生のYouTube動画でもCORSが分かりやすく解説されています。
方法としては簡単で以下のようになります。
- カスタムヘッダーを利用することにより、他オリジンからのリクエスト時には、ブラウザがPreflightリクエストをするようにします。
- サーバー側でブラウザから送られてくるPreflightリクエストを解析してレスポンスを返すようにします。
これによってCSRF対策用のトークンが不要になります。ポイントとしては、ブラウザからのリクエストで必ずPreflightリクエストを送るようにするために、「単純リクエスト」ではなくする必要があります。これに使われるのがカスタムヘッダーとなります。
単純リクエストの要件
「単純リクエスト」は以下のすべての条件を満たすものになります。
GET
POST
HEAD
▼設定できるリクエストヘッダ
Accept
Accept-Language
Content-Language
Content-Type (但し、下記の要件を満たすもの)
DPR
Downlink
Save-Data
Viewport-Width
Width
※Content-Type ヘッダーでは以下の値のみが許可されている
application/x-www-form-urlencoded
multipart/form-data
text/plain
単純リクエストでは「Preflightリクエスト」を送りませんが、単純リクエスト以外では「Preflightリクエスト」を送って確認をしてから、次に「本リクエスト」を送るようになっています。
▼「Preflightリクエスト」を使う通信(単純リクエスト以外)の例
※通信が2回になり、「Preflightリクエスト」の後に「本リクエスト」が送られる
X-Formというカスタムヘッダーを使った例
フロントエンドの実装
「Content-Type
」に「application/x-www-form-urlencoded
」を指定し、カスタムヘッダー「X-From
」にはオリジン情報を入れて送るようにようにします。こうすることによって、必ずPreflightリクエスト
が本リクエストの前に必ず飛ぶようになります。
▼JavaScriptコードの例
const xhr = new XMLHttpRequest();
xhr.open( 'POST', '/inquiry', true );
xhr.setRequestHeader( 'Content-Type', 'application/x-www-form-urlencoded' );
xhr.setRequestHeader( 'X-From', location.origin );
※なお、「X-Form
」の部分は、他によく使われる「X-Requested-With
」や「X-Requested-By
」で置き換えても同じです。
サーバーサイドの実装
Preflightリクエストのヘッダーの内容を確認します。
リクエストヘッダーが付与されているかをチェックし、X-Formの値が想定している内容かどうかを確認する。
・Origin:
リクエストヘッダーがついていないか、リクエストヘッダーがついていて、X-Formとオリジンが同一かを判定する。
これによって、以下のようにCSRFを防ぐことができるようになります。
- 悪意のあるサイトでFormのSubmitによってリクエストした場合
→X-Formヘッダーを付与できないのでサーバー側の判定で弾くことができる。 - 悪意のあるサイトでJavaScriptの実行によりXHR(Ajax)にてリクエストがきた場合
→Originヘッダーが悪意のあるサイトのオリジンになるため、サーバー側の判定で弾くことができる。
メリットとデメリット
メリット
カスタムヘッダーをリクエスト時に設定するようにするだけで、CSRF対策を簡単にできるようになります。
デメリット
HTMLでformタグなどを使ったリクエストは対応できず、ブラウザ側の処理で必ずJavaScriptによる処理が必要になります。
以下の記事が参考になります。
» XMLHttpRequestを使ったCSRF対策
» このWeb APIってCSRF対策出来てますか?って質問にこたえよう
ご参考になれば幸いです。
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