webpackでBabelを使ってES6を使えるようにする 【Sass設定もあり】
この記事では、webpackを使って、JavaScriptのES6で書いたコードを古いブラウザにも対応できるようにしたり、Sassを使った開発の環境構築について解説します。
記事を読むことによって、簡単なホームページ制作などでも、webpackで簡単にこれらの設定をできるようになります。
この記事を書いている僕はJavaScriptが得意分野でフロントエンドのプログラマー(フリーランス)として仕事をしています。
これまで企業などで3年以上のWeb制作経験があり、HTMLやCSSのマークアップからJavaScriptのフレームワークであるVue,React,Nuxtなどフロントエンドの開発を得意としています。
GitHubのサンプルコード
サンプルコードとして、GitHubに完成したコードを上げています。
https://github.com/it-web-life/webpack_settings_basic
※「git clone」するか、緑色の「Code」ボタンをクリックして「Download ZIP」をクリックしてダウンロードして中身を解凍してください。
webpackの概要
webpackは、オープンソースのJavaScriptモジュールバンドラーです。対応するローダーを組み込むことによって、HTML、CSS、画像なども読み込んだり変換することが可能です。
webpackを動かすためには、Node.jsが必要になります。
Babelでトランスパイルして古いブラウザにも対応する
JavaScriptのES6は比較的新しい構文のため、そのままのコードだとIE11などの古めのブラウザでは解釈ができなく、正常に動かなくなります。
そのため、ES5以前の書き方に直す必要がありますが、この設定をwebpackにてBabalを使えば簡単に自動で行うことができます。
SassをコンパイルしてCSSに変換する
Sassは、SASSとSCSSの2種類ありますが、どちらともそのままだとブラウザは解釈ができないため、従来のCSSへの変換が必要です。
こちらもwebpackでライブラリをインストールして設定することにより、自動で簡単に行うことができるようになります。
その他
webpackには、開発用と本番用のビルドを分ける設定があり、minifyなども行ってくれます。
今回はJavaScriptでconsole.logが残っている時に、本番環境では自動でビルド時に削除する設定などを紹介します。
事前準備
Node.jsのバージョンは、執筆時の最新安定バージョン(Long Term Support) 12.18.3を利用することとします。
Node.jsについては、「nodenv を使って Node.js を簡単にバージョン管理する方法 【.node-versionファイルで簡単に切替】」の記事を書いているので参考にしてみてください。
僕はnodenvを使っているので以下のように、12.18.3を指定しています。
$ cd 【プロジェクトディレクトリ】
$ nodenv local 12.18.3
※12.18.3が未インストールの場合はインストール(「nodenv install 12.18.3」コマンド)からする必要があります。
今回はnodeのパッケージ管理ツールに、yarn を使っています。(npm と yarnの2つがメジャーです)
yarnが未インストールならインストールします。
MacでHomebrewがインストールされている環境であればコマンド1つでyarnをインストールできます。
$ brew install yarn
webpackの設定
順番にwebpackの設定をするために進めていきます。
全体の流れがわかるように、手順の解説をメインにしています。
基本的なファイル構成は以下のように設定をしています。詳細は順次説明します。
通常、HTMLを同時に作成してビルドするなら「html-webpack-plugin」等を使いますが、今回はphpなどと組み合わせて使う想定で、JSとCSSのみの出力をする前提で解説しています。また画像もそのまま出力する場合には「copy-webpack-plugin」を使うなどしてください。HTMLや画像の出力もコントロールしたい場合は別記事を参考にしてください。
初期化をします。初期化をすると、package.jsonが作成されます。
$ yarn init -y
$ yarn init -y
yarn init v1.7.0
warning The yes flag has been set. This will automatically answer yes to all questions, which may have security implications.
success Saved package.json
✨ Done in 0.05s.
▼package.json
{
"name": "webpack_settings_basic",
"version": "1.0.0",
"repository": "https://github.com/it-web-life/webpack_settings_basic.git",
"author": "TS",
"license": "MIT"
}
※細かい部分は違うと思いますが気にしなくてOKです
Webpackの基本的な構成を作成
webpack、webpack-cli、webpack-dev-serverをインストールします。
$ yarn add -D webpack webpack-cli webpack-dev-server
次に「webpack.config.js」に相当するファイルを作成します。
今回はdevelopmentとproductionで構成を変えるのでファイルを2種類作ることにします。
development用としてwebpack.dev.js、production用としてwebpack.prod.jsの2種類を作成し、共通のwebpack.common.jsを読み込ませます。
※webpack4からの書き方について公式でも解説されています
この構成のためにwebpack-mergeもインストールします。
$ yarn add -D webpack-merge
ここまでで、「webpack.common.js」「webpack.dev.js」「webpack.prod.js」を作成して、ベースとなるコードを書きます。
▼webpack.common.js ※共通ファイルには後ほどBabelの設定などを記載します。
module.exports = {}
▼webpack.dev.js
const { merge } = require('webpack-merge');
const common = require('./webpack.common');
const merged = merge(common, {
mode: 'development',
output: {
path: __dirname + '/dist/',
filename: 'bandle.js',
},
devServer: {
host: '0.0.0.0',
disableHostCheck: true,
contentBase: __dirname + '/dist/'
},
devtool: 'inline-source-map'
});
// 確認用
console.log(merged);
module.exports = merged;
開発時は、「webpack-dev-server」を使って変更があれば更新されるようにします。
distディレクトリにwebpackがビルドするファイルができるように指定しています。
ソースマップ表示をするために「devtool: ‘inline-source-map’,」をwebpack.dev.jsのみに追記しています。
▼webpack.prod.js
const { merge } = require('webpack-merge');
const common = require('./webpack.common');
const merged = merge(common, {
mode: 'production',
output: {
path: __dirname + '/dist/',
filename: 'bandle.js'
}
});
// 確認用
console.log(merged);
module.exports = merged;
package.jsonに以下のscriptsを追加して、コマンドで簡単に実行できるようにします。
▼package.json
"scripts": {
"dev": "webpack-dev-server --config webpack.dev.js",
"build": "webpack --config webpack.prod.js"
}
開発時は「yarn dev」、デプロイ用のビルドを作成するときは「yarn build」を実行します。
「yarn build」を実行すると、「dist」ディレクトリに、「bandle.js」と「style.css」が出力され、これをhtmlなどで読み込ませて利用します。
ES6をBabelでトランスパイルする
ES6でJavaScriptを記載すると、モダンなブラウザ以外の対応ができていないIE11などでは正常に動作がしなくなります。
そこで、Babelを使って古いブラウザでもJavaScriptが解釈できるようにトランスパイルするように設定します。
Babel関連をインストールします。
▼インストールするパッケージ
@babel/cli
@babel/core
@babel/preset-env
babel-loader
@babel/polyfill
※Babel7.4.0以降では「@babel/polyfill」が非推奨となっていますが、僕の試した限りだとIE11で挙動が不安定だった(一部のシンタックスでトランスパイルが不完全?)ので、「@babel/polyfill」を使うためにBabelのバージョンを7.4.0より以前のバージョンにして「@babel/polyfill」を利用する形で今回は進めています。
$ yarn add -D @babel/cli@^7.2.3 @babel/core@^7.2.2 @babel/preset-env@^7.3.1 babel-loader@^8.0.5 @babel/polyfill@^7.2.5
webpack.common.jsにBabelの設定を追加します。
▼webpack.common.js
module.exports = {
entry: ['@babel/polyfill', __dirname + '/src/index.js'],
module: {
rules: [
{
test: /\.js$/,
exclude: '/node_modules/',
use: [
{
loader: 'babel-loader',
options: {
presets: [[
'@babel/preset-env',
{
useBuiltIns: 'entry'
}
]]
}
}
]
}
]
}
};
SASSの取り込みをする
まずはCSSを取り込むために、css-loaderをインストールします。
$ yarn add -D css-loader
続いて、SASSのコードを取り込むために、「sass-loader」をインストールします。
また、SASSから従来のCSSへコンパイルするために、「node-sass」もインストールします。
$ yarn add -D sass-loader node-sass
今回は、CSSファイルはJSにバンドルせずに分ける設定にするため、「mini-css-extract-plugin」をインストールします。
$ yarn add -D mini-css-extract-plugin
webpack.common.jsに設定を書きます。
▼webpack.common.js
module: {
rules: [
// Babel設定
【中略】
// SASS SCSS CSS設定
{
test: /\.(sa|sc|c)ss$/,
use: [
MiniCssExtractPlugin.loader,
{
loader: 'css-loader',
options: {
url: false
}
},
'sass-loader'
]
}
]
},
// スタイルをCSSファイルに分離する設定
plugins: [
new MiniCssExtractPlugin({
filename: 'style.css'
})
]
modulesのrulesにSASSの設定を追加したのと、pluginsにMiniCssExtractPluginの設定で出力されるファイルを「style.css」と指定しています。
rulesのSASSで、設定の順番として、下から順番に実行されるため、下から順に’sass-loader’ → ‘css-loader’→MiniCssExtractPluginとしています。
従来のCSSファイルについて、sass-loaderを通しても問題がないため、まとめて記述しています。
JavaScriptをminifyする
JavaScriptをminifyするために、「uglifyjs-webpack-plugin」をインストールします。
(minifyについてはラッパーなので実際にはUglifyJS2が行います)
$ yarn add -D uglifyjs-webpack-plugin
console.logをproductionでは消す設定もオプションで追加します。
minifyはproductionのみ設定するため、webpack.prod.jsのみに記載します。
▼webpack.prod.js
const UglifyJsPlugin = require('uglifyjs-webpack-plugin');
【中略】
const merged = merge(common, {
【中略】
optimization: {
minimizer: [
// JSのminify
new UglifyJsPlugin({
uglifyOptions: {
compress: {
drop_console: true
}
}
})
],
}
});
※console.logが残っている場合は削除するオプションの「drop_console」をつけて「UglifyJsPlugin」の記述を追記
CSSをminifyする
CSSをminifyするために、「optimize-css-assets-webpack-plugin」をインストールします。
$ yarn add -D optimize-css-assets-webpack-plugin
「OptimizeCssAssetsPlugin」の設定をproductionの方にのみ追記します。
▼webpack.prod.js
const OptimizeCssAssetsPlugin = require('optimize-css-assets-webpack-plugin');
【中略】
optimization: {
minimizer: [
// JSのminify
【中略】
// CSSのminify
new OptimizeCssAssetsPlugin({})
],
}
これで設定は完了です。
まとめ
完成したwebpack設定のコードは、以下のGitHubに上げています。
https://github.com/it-web-life/webpack_settings_basic
ご自身でやってみて、もし正常に動作できない場合などはGitHubのコードをダウンロードしてローカルの環境でyarn install
をしてから試して見てください。また、その際はNode.jsのバージョン(12.18.3)を合わせるようにしてください。
webpackの設定が完了したら、以下のように使い分けて開発、本番デプロイをすることができます。
開発時
yarn dev
コマンドを実行すると、webpack-dev-serverが立ち上がり、JSやSassを変更すると自動で再コンパイルされます。
http://localhost:8081/ にアクセスすると、開発用にビルドされた環境へアクセスできるはずです。
本番環境用のビルドをするとき
yarn build
コマンドを実行すると、「dist」ディレクトリに、「bandle.js」と「style.css」が出力されるので、本番用のHTMLなどで読み込みをさせて動作させます。
また「webpackでHTML・画像をそのまま出力 【jQueryを組み込む方法も紹介】」の記事で、さらにHTMLや画像を出力する方法、jQueryを追加する方法を載せているので、必要な場合は参考にしてください。
今回はwebpackについて解説しました。
ご参考になれば、幸いです。
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