スムーススクロールをjQueryで簡単実装 【初心者向け ソースコードの中身も解説】
こんにちはTSです。
本記事では、スムーススクロールで目的の要素までスクロールする機能について、実装方法とソースコードの解説をします。
スムーススクロールは、ボタンやリンクなどの要素をクリックした際に、特定の要素までスクロールして画面を移動させる機能です。
この記事を書いている僕は、フリーランスのフロントエンドのプログラマーとして、これまで3年以上のWeb制作経験があり、HTMLやCSSのマークアップからJavaScriptのフレームワークであるVue,React,Nuxtなどフロントエンドの開発を得意としています。
スムーススクロールはjQueryを使って簡単に実装できるので、使いこなせるようにしましょう。
スムーススクロールの概要
スムーススクロールの動作は、hrefの先頭に#がついたaタグがクリックされた時に、該当のidが付いた要素までアニメーションしてスクロールさせます。
例) <a href=”#first”>
具体的には、以下の手順で動作をします。
- aタグがクリックされた時にhrefの先頭が「#」から始まれば、要素を取得してそのOffset値(要素の位置)を取得する。
- 取得したOffsetをscrollTopとしてアニメーションさせて画面をスクロールさせる。
GitHubのサンプルコード
サンプルコードとして、GitHubにコードを上げています。
https://github.com/it-web-life/jquery_smooth_scroll
※「git clone」するか、緑色の「Code」ボタンをクリックして「Download ZIP」をクリックしてダウンロードして中身を解凍してください。
ディレクトリ構成
- 「base」ディレクトリ以下:jQueryでスムーススクロールを実装する前のベースとなるコードです
- 「complete」ディレクトリ以下:jQueryでスムーススクロールを実装したコードです
- 「complete_fixed_header」ディレクトリ以下:ヘッダーが上部に固定されている時のスムーススクロールを実装したコードです
実装前の動作は以下の通りです。
https://it-web-life.github.io/jquery_smooth_scroll/base/index.html
スムーススクロールの実装
まずは、「script」ディレクトリを作成し、その中に空のファイル「script.js」を作成します。
そして、HTMLファイルにjQuery本体とscript.jsファイルを読み込ませる記述を追加します。
index.htmlファイルのbody閉じタグの前に2行scriptタグのコードを追加します。
▼index.html
<script src="https://code.jquery.com/jquery-3.3.1.js"></script>
<script src="script/script.js"></script>
jQueryの実装
実際にスムーススクロールのjQueryコードを追加していきます。
追加したファイル「script/script.js」に、jQueryのコードを書いていきます。
まずは、HTMLのコードが読まれた後(DOMContentLoadedイベントのタイミング)にjQueryの処理を開始するために「$(function(){ });」を記述します。
$(function(){
// ここに後で処理を追加します。
});
この中に、aタグがクリックされた時の処理を書きます。追記したコードは以下のようになります。
$(function() {
// ①スクロールする速度
var scrollSpeed = 500;
// ②href属性が「#」で始まるaタグがクリックされたとき
$('a[href^="#"]').on('click', function() {
// ③aタグのhref属性の値を取得
var href = $(this).attr('href');
// ④ページの先頭へリンク指定されているとき
if (href === '#' || href === '#top') {
// ページトップへスクロールさせる
$('html, body').animate({ scrollTop: 0 }, scrollSpeed, 'swing');
return false;
}
// ⑤遷移先要素の位置を取得
var offset = $(href).offset().top;
// ⑥要素までスクロールさせる
$('html, body').animate({ scrollTop: offset }, scrollSpeed, 'swing');
return false;
});
});
コメントに番号を振っているので、順番に解説します。
- ①スクロールする速度
aタグがクリックされて移動する位置までアニメーションをさせる時の速度(ms指定)です。今回は500ms(0.5秒)で設定しています。 - ②href属性が「#」で始まるaタグがクリックされたとき
「a[href^=”#”]」と指定することにより、aタグのhrefで先頭が「#」と一致する要素のみを取得することができます。
「$(‘a[href^=”#”]’).on(‘click’,【コールバック関数】)」とすることで、コールバック関数にクリック時の処理を記載しています。 - ③aタグのhref属性の値を取得
「var href = $(this).attr(‘href’);」とすることで、$(this)はクリックされた要素が入り、その要素のhref要素の値を変数「href」に入れています。 - ④ページの先頭へリンク指定されているとき
「<a href=”#”>」や「<a href=”#top”>」のときは、「$(‘html, body’).animate({ scrollTop: 0 }, scrollSpeed, ‘swing’);」によって、ページトップへスクロールさせます。href=”#top” または空のフラグメント (href=”#”) を使用すると、現在のページの先頭にリンクするということがHTML仕様書で定義されています。
https://html.spec.whatwg.org/multipage/browsing-the-web.html#scroll-to-the-fragment-identifierまた「return false;」によって、aタグをクリックした挙動がキャンセルされています。
- ⑤遷移先要素の位置を取得
③で取得したhref属性を要素(idが付いている要素)として取得し、その位置(offset)を取得しています。
例)<a href=”#first”>〜</a>がクリックされた際は、「$(href).offset().top;」で、hrefに「#first」が入り、「$(‘#first’).offset().top;」として移動先のidが振られている要素を取得して、offset値を取得しています。 - ⑥要素までスクロールさせる
「$(‘html, body’).animate({ scrollTop: offset }, scrollSpeed, ‘swing’);」でoffsetに取得した要素のoffset値が入り、アニメーションでスクロール移動します。またここも「return false;」によって、aタグをクリックした挙動がキャンセルされています。
これでスムーススクロールは完成です。
スムーススクロールを実装した完成品は「complete」ディレクトリの内容になります。
スムーススクロールを実装したサンプルのURL
https://it-web-life.github.io/jquery_smooth_scroll/complete/index.html
ヘッダーが固定されて表示される場合のスムーススクロール実装
ヘッダーが固定されて、スクロールしても付いてくるようなサイトはよくあると思います。このようにヘッダーが常についてきて、そのヘッダーの高さも考慮してスムーススクロールをしなければならないケースの実装について解説します。
サンプルコードのindex.htmlでheaderタグに「fixed」classを追加すると、ヘッダーが固定されるようになっています。
例)
修正前「<header class=”header”>」
修正後「<header class=”header fixed”>」
ヘッダーを固定した状態だと、普通にスムーススクロールしてもヘッダーと要素がかぶってしまい、スムーススクロールしたときにズレが生じます。
これを解消するために、ヘッダーの高さを移動するoffset値からマイナスした位置にスクロールさせる必要があります。
先ほど完成させたコードに追加します。
まずは以下のコードを追加してヘッダーの高さを取得します。今回は「.header」要素がヘッダーなのでこの高さを取得します。
// ヘッダー要素の高さを取得
var headerHeight = $('.header').height();
headerHeight = headerHeight ? headerHeight : 0;
「.header」要素が取得できないときにheaderHeightがundefinedにならないように、念の為「headerHeight = headerHeight ? headerHeight : 0;」を入れています。
移動先の要素までスクロールさせる処理について、「offset – headerHeight」としてヘッダーの高さをoffset値からマイナスしてスクロールさせるよう処理を以下の用に変更します。
$('html, body').animate({ scrollTop: offset - headerHeight }, scrollSpeed, 'swing');
return false;
これで、ヘッダーが上部に固定されているときのスムーススクロールが完成です。
変更後のコードは以下のようになります。
$(function() {
// スクロールする速度
var scrollSpeed = 500;
// ヘッダー要素の高さを取得
var headerHeight = $('.header').height();
headerHeight = headerHeight ? headerHeight : 0;
// href属性が「#」で始まるaタグがクリックされたとき
$('a[href^="#"]').on('click', function() {
// aタグのhref属性の値を取得
var href = $(this).attr('href');
// ページの先頭へリンク指定されているとき
if (href === '#' || href === '#top') {
// ページトップへスクロールさせる
$('html, body').animate({ scrollTop: 0 }, scrollSpeed, 'swing');
return false;
}
// 遷移先要素の位置を取得
var offset = $(href).offset().top;
// 要素までスクロールさせる (ヘッダー高さ位置調整)
$('html, body').animate({ scrollTop: offset - headerHeight }, scrollSpeed, 'swing');
return false;
});
});
ヘッダー固定時のスムーススクロールを実装した完成品は「complete_fixed_header」ディレクトリの内容になります。
ヘッダー固定時のスムーススクロールを実装したサンプルのURL
https://it-web-life.github.io/jquery_smooth_scroll/complete_fixed_header/index.html
まとめ
今回はスムーススクロールの実装を解説しました。
スムーススクロールは基本的な機能で、使う機会が多いと思うので、すぐに使えるようにストックしておくとよいと思います。
ご参考になれば幸いです。
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