Written by TSUYOSHI

フリーランスエンジニアの営業と面談の攻略方法

FREELANCE WORK

  • 「フリーランスのエンジニアだけど面談が苦手」
  • 「フリーランスのエンジニアになりたいけど営業が心配」

こういった人向けに、主に企業常駐型のフリーランスエンジニアが身につけておくべき面談の攻略法をお伝えします。
この方法はすぐに実行できると思うので、面談の機会がある方にぜひ読んでいただきたいです。

この記事を書いている僕は、以下のようなフリーランス・営業の経験があるので参考にしてもらえる部分があると思います。

  • フリーランスエンジニアとして3年の経験があって面接官としての経験もある
  • 営業経験が9年、ゼロから年間売上1億5000万円の事業を起ち上げたこともあるので営業や交渉に関しては自分なりの経験を交えたことをお伝えできる。
  • 短期間ですがエージェントをやっている会社で実際に営業で働いていた経験もあり、中の仕組みもわかっている。

結論として、フリーランスのエンジニアなら面談は事前準備で攻略できます

フリーランスにとって営業力は重要だけど、必須ではない

フリーランスとしてやっていくなら、営業力は必須とよく言われていると思います。
僕も常駐型のエンジニアになる際に、先輩エンジニアからフリーランスとしてやっていくならば営業力は必須と言われていました。

僕は、これは半分くらいは正しいと考えていますが、おそらく一般的に考えられているような「営業力」については必要ないと思っています。
高い単価を獲得するには営業力があった方がよいですが、普通の平均的な単価を獲得するには最低限のことさえできれば営業力は必要ないと思っていますし、事前の準備をするだけで、既に必要な営業力は備わっていると考えてよいとも思っています。

常駐型のフリーランスエンジニアにおいての営業力は、事前準備と考えてよいと思います。

仕事の選び方 【やりたい仕事かどうかを最優先に選ぶ】

短期的な単価だけでなく、長期的にこれは自分の経験値としてよい選択になるか、やりたい仕事かということを最優先に考えるのがよいと思います。
低い単価であっても、極端な安さでなければ、やりたいことを優先する方が後々メリットの方が大きいと思います。

商談時の企業側の担当者から判断する

企業側の担当者から一緒に働きたい人かどうかというフィーリングも大切にすべきだと僕は考えています。
「一緒に働きたくないな」と思う人だと、大抵その案件に入っても嫌な職場ですぐに抜けるという結果になるだけだと思うためで、短期ではなく長期で考えるべきということです。

【超重要】企業側の面接官タイプから判断する

ここは重要な部分で、商談時に同席する企業側の担当者がどのタイプになるかでトークを分けます
「現場の責任者・エンジニア」「経営者・役員などの経営層」「採用担当・営業系の非エンジニア」で分けて考えます。

面談時に企業側の担当者が現場の担当者でない場合もあるので、できれば事前にどういった立場の人が来るのかをエージェントに聞いておきます。事前にわからない場合は、パターン分けをしてトークを準備しておき、面談時に直接本人に聞き、トークを展開します。
複数タイプの人が入り混じって商談に来る時は、組み合わせて相手によってトークを変えます。
基本的な戦略なので、場合によっては相手の表情を見て違うなと思ったら、臨機応変に路線変更するなどしてください。

現場の責任者・エンジニア

技術よりの話をきちんと展開して、スキルに問題がないことをアピールします。
相手によって様々なので一概には言えませんが、「一緒に働きたい」と思われるようにコミュニケーションを取ります

可能であれば職場で使うツールや環境などを聞き出して、参画することになった場合に事前に準備をできるようにしておきます。本当に現場にスムーズに入る準備のために聞くのですが、具体的に「準備しておきます」ということを伝えるのもアピールになることがあります。また現場の状況を知るのは知識のレベルアップにもなります。

経営者・役員などの経営層

「御社の利益に貢献したい」ということを話の展開の中心にします。
技術よりの話をしても相手はわからないので、細かい技術の話はせず論理的に「○○ができるから御社の役に立ち、利益に貢献できる」というようなことを伝えます。
会社は売上を上げてそこから人件費を捻出するので、この視点があるということを伝えるだけで印象はよいと思います。

採用担当・営業系の非エンジニア

相手がわかっていなくてよいので、技術的な単語・専門用語を並べてトークを展開し、この人はわかっているなと思わせるようなトークを展開することがよいと思います。
(よく営業ではわかり易い言葉を使って専門用語は使わない方がよいと言われますが、エンジニアの面談にエンジニア以外がくるこのケースにおいては当てはまらないと考えています。)
人物を見ていることがほとんどなので、きちんとしている人、問題を起こさなそうな人、職場で馴染めそうという印象を与えるようにトークを展開します。

面談・商談の攻略方法

自分という誰よりも知り尽くしている商品を企業に売り込みます。

スキルシートが最重要

スキルシートは企業側が書類選考にも使うものなので、丁寧に作ります。
特別なことはなく、スキルを記載するだけではありますが、パッと見でもわかりやすく、どういったスキルや経験があるのかをわかりやすくアピールするものを作ります。面接官の立場に立って、考え尽くします。

本当はクライアントによってスキルシートの内容を変えたい(強調するポイントを変えたい)ところですが、エージェント経由だとそれはできないため、自分が就きたい案件を想定して、強調ポイントを明確にしたスキルシートにすることがよいと思います。
あとは商談時に口頭で経験の説明、補足をして調整する感じです。

面談の想定質問を考え、それに対する答えを用意しておく

エージェントに事前に過去にどういった質問があったか、どういった傾向があるのかを聞いておきます。
エージェントに、ざっくりとした質問をしても、ぼんやりとした回答しか得られないため、その企業に絞って質問するということがポイントです。エージェントを有効活用することによって効率よく面談を攻略できます。

もちろん、スキルに関する質問などその他についても自分で想定できると思いますので、事前に考えておきます。

テストをクリアする

企業によっては面談時にプログラミング等のアルゴリズムのテストを実施するケースがあります。

良い案件で、絶対に攻略したい案件ならアルゴリズムのテストの準備をすることは必要だと思います。テストの内容はPizaとかの問題と同じような感じです。

テストがあるかどうかは、事前にエージェントに聞けばだいたいわかります。ただし商流が深い場合は、このあたりの情報を聞き出すのは難しいかもしれません。就活のSPIテストのノリで、1日でいきなり準備するのは難しいかもしれないですが、アルゴリズムの問題集を解いておけばよいと思います。

Geekで技術力のある会社がこういったテストを出す傾向がありますが私も2回しか経験はなく、滅多にこういった企業はありません。

エージェントを有効活用する

エージェントは2社以上使うのがベスト

エージェントは複数使うべきですが、多すぎると調整が面倒になるのでNGです。
フリーランスになるのが初めての場合は何社か当たってもよいと思いますが、通常は1回の案件を2〜3社程度のエージェントにて決めるのがよいと思います。
複数の選択肢がある中で選べる方が、交渉がしやすいということが理由です。

エージェント担当者の方の中には、単価交渉の際にエンジニア側の単価を下げようとしてくる人がいます。酷いケースだと、僕が経験したのですが、ウソをついて単価を下げようとしてくる人もいました。
(ウソとわかったのは後々、常駐している企業のマネージャーと仲良くなって話をしていた際に、あれは単価交渉をするためのエージェント側のウソだったのかと後でわかったことがあります。)
エージェント企業を利用する際は、概ねよいエージェント企業であったとしても、そのエージェントの担当者に依存してしまう部分があるため、このあたりのリスクを考えて、エージェント会社は2社以上使って常に1社に依存しない状況を作っておいた方が、僕はよいと考えています。

マイナス面を書いてしまいましたが、エージェントは上手く利用すればWin-Winの関係になれるのでエージェントを利用すること自体にはメリットがあります。

決まる人材はエージェントにとっても良い存在

面談は並行して進めるので、1案件を決めるのに複数の面談をすることになります。
エージェントにとって数回の最低限の少ない面談回数で決まる人材は、「決まりやすい人エージェントの利益につながる人優先度の高い人」ということになります。
エージェントも担当者が商談に同行するので、その度にコストが発生します。商談をして決まらない人は、優先順位を下げるべき人という評価になるので、このあたりは頭の片隅程度でいいですが、意識して動いたほうがよいと思います。

実際に「そんな案件あったのか」というような変わり種の案件をエージェントに紹介してもらっている友人もいて、エージェントとの関係を良好にしておくことにはメリットがあります。
最近はリモートワークを意識する企業が増えてきたため、もし数少ないリモートワークの案件をやりたい場合なども、紹介してもらえるかどうかはエージェントとの関係次第かと思います。

エージェントでの実績作り

余談程度に聞き流しでよい話になりますが、一方で何度も案件を探す時に利用しているが、1度もそのエージェント経由で契約をしていないというのも問題がある場合があります。
エージェント側からすると何度も紹介しているけど決まらない人(成約に至らない人)という印象が付くため、優先度が下がる可能性があります。

その可能性を考えて、僕の場合は、戦略的にエージェントを使うようにしています。

  • 大手エージェントである
  • 高額案件があるエージェントである
  • 評判がよいエージェントである

といったことがわかっているエージェントについては、できれば今回はこのエージェントで決めに行くと決めて利用することがあります。
1度取引の実績を作っておけば、この人は面談に通るエンジニアという実績をことができ、その後の別の機会によい案件を紹介してもらえる可能性が高くなるためです。

エージェント会社はマージンビジネスなので、如何に多くの人材を成約させるかが利益の鍵になるため、担当者ひとりで多くのエンジニアを担当し、優先順位をつけて案件の紹介をするため、ここも意識するとよいと思います。

高単価を得る方法

商流を意識する

基本になりますが、エージェントを利用する際に商流は意識すべき点です。

商流とは、仕事を紹介してくれるエージェントが間に何社あるかということです。以下に例を出します。

  • 案件1: エンド(お金を払う企業) -> エージェントA -> エンジニア
  • 案件2: エンド(お金を払う企業) -> エージェントA -> エージェントB -> エージェントC -> エンジニア

この場合は案件1は「商流が浅い」という言い方をし、企業とエージェントが直接つながっているため、「エンド直」案件などと言ったりします。
案件1のようにできるだけエンド直の案件の方がよく、案件2の場合は「商流が深い」ため無駄に間に入る企業が多くよくない案件となります。

ただ初めてフリーランスになる場合や経験値を積むことを優先する場合は、3階層程度の商流くらいまではOKとするのはよいと思います。
商流が深くなる場合のデメリットは以下のとおりです。

  • 取られるマージンが多くなる
    間に挟まる会社が多いほど、「中貫き」されることになり、エンジニア自身の取り分が減る可能性が高いです。
  • 企業-エージェント-エンジニアのコミュニケーションが困難
    エージェントが複数挟まると、エージェント経由で現場担当者へ話をしてもらいたい時に、話がエージェント間の伝言ゲームになり、交渉事も上手く行かないということもよくあります。
    また商流が深いと面談前にエージェント経由で企業の過去の面談情報の収集をしたくても、ほぼできないと考えた方がよいと思います。商流が2階層以上の場合は、面談当日に面談場所に行って初めてエンド企業がわかります。
  • 企業側とエンジニア側の意識に乖離が生まれる
    間に挟まる会社が多いと、企業側は大きな金額を払っているので、「これだけ払っているんだから、これくらいやってもらわないと」と厳しい要求をする。
    逆にエンジニア側は「こんなに安い単価で、こんなにやっている」という意識の乖離が生まれやすいです。

中抜されているマージン部分は変わらない場合もありますが、コミュニケーションという点では商流は浅い方がよく、理想はエンド担当エージェント直接という1階層のみの商流であることが理想です。
エンド直の案件が多いエージェントとしては「GeechsJob (ギークスジョブ)」がオススメです。

現場での単価アップ交渉は難しい

僕が働いている時に、同僚のフリーランスエンジニア何人かから相談を受けたことがあるのですが、「単価を上げたいけれども上げられない」ということをよく聞きます。「エージェントに交渉しても単価は上げられないと言われた」、というのはよく聞く話です。だいたいこういうケースでは、働いている現場の環境がよく、これからも長く働きたいが、単価をもう少し上げたいというケースです。

基本的には同じ現場で単価アップをすることはかなり難しいです。
明らかに抜けられると困る、替えが効かない存在(単価的にもコスパがよく同じ人材はいないであろうと思われる存在)になると、交渉できると思いますが、多くの人の場合は難しい気がします。
同じ現場で、単価を上げたいのならば、現場でマネージャークラスの人にそう思ってもらえる存在になるか、現場を変えてその時に単価も交渉するというのが一般的な手法になると思います。

僕の場合は同じ現場で大幅な単価アップをしてもらえたことがあります。
僕は単価アップを目的に契約満了時に別案件に移るつもりであることを事前に伝えていました。たまたまですが、数ヶ月いた現場でマネージャーに、単価の割にはパフォーマンスがよいと思われていたので、

  • 僕の単価アップをすることによるコスト増
  • 他の人材を探す手間、同じレベルのスキルと単価のエンジニアを見つけられるかわからないリスク

を天秤にかけて単価アップをしてくれたのだと思います。
ただこういったケースは稀だと思うし運が良かっただけなので、基本的には案件ベースで単価の交渉をするということになります。

現場を抜ける際の注意点

少し余談になりますが、現場を抜ける際の注意点についても書きます。

エージェントに迷惑がかからないように現場を抜けることが重要です。
お世話になった現場に迷惑をかけないことは当然ですが、エージェントにも悪い印象を与えないようにすることは重要です。

能力が高くても現場での素行が悪い人はあまりエージェントとしては扱いたくない人材と判断されます。
印象を良くするということは不要ですが、問題のある人と思われない程度に普通の対応をしていれば問題ないでしょう。

まとめ

面談についてのまとめです。

  • 商談時に同席する企業側の担当者がどのタイプになるかでトークを分ける
  • スキルシートは重要なので丁寧に作る

フリーランスのエンジニアにとって、エージェントは営業をしなくても簡単に案件を見つけてくれる存在なのでフル活用したい存在です。
大小合わせればいくらでもエージェントはいるので、変に下手に出る必要はありませんが、良いエージェントとは長く付き合うほうがエンジニアとしてもメリットが大きいため、エージェントとはできれば良好な関係を築いておいた方が得だと思います。

面談にいくのは数ヶ月に一回のペースなので、ポイントを忘れてしまうことは多いので、今回は自分が面談に行く前にもチェックシート代わりに見直すことができるような記事を書こうと考えて書いてみました。参考になれば幸いです。

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