Written by TSUYOSHI

【解説】「SIer」と「SES」の違い 【結論:比較する意味はない】

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本記事では、SIerとSESの違いについて、初心者にも分かりやすく解説します。

「SIer」と「SES」はそもそも比較すること自体がおかしく、全く違うものであり、SIerは企業を指し、SESは契約形態のことを指しています。これらを解説していきます。

この記事を書いている僕は、SIer企業でSEとして5年の勤務経験があり、フリーランスのプログラマーとしてSES契約の経験もあります。

「SIer」と「SES」の違い

SIer

「SIer」とはSIer企業のことであり、システム開発を受託する企業のことを指します。

SES

「SES」は「System Engineering Service」の略語であり、「業務委託契約」のひとつです。「業務委託契約」は、法的に請負・委任・準委任契約に分類されるのですが、SESは「準委任契約」になります。

SIerとSESは違う

これらの説明から、SIerとSESは全く異なるものが分かると思います。SIer企業間でSESで稼働することも多かったりするため、SIer企業とSESの契約がゴチャゴチャに比較されているようにも思います。

SIerの特徴

「SIer」とはSIer企業のことであり、システム開発を受託する企業のことを指します。
もとは、「Systems Integrator」(システムインテグレーター)の略称「SI」であり、IT戦略の立案から設計、開発、運用・保守・管理までを一括請負する情報通信企業を指します。末尾に「- er」をつけた「SIer」は和製英語です。

日本の代表的なSI企業はNTTデータ、日本IBM、日立製作所、富士通、日本電気 等です。

また、3種類のSIerに分類され、ユーザー系、メーカー系、独立系に分かれたりします。

  • ユーザー系
    親会社が自社のシステム開発をしたい時に、その依頼先として設立した企業がもとになっているSIer。
  • メーカー系
    日立・NEC・富士通・東芝・三菱電機・IBMなどのメーカーから派生した企業。政府系の仕事を丸投げしてもらうITゼネコンとよく呼ばれるSIerは主にこれ。
  • 独立系
    親会社は特になく資本が独しているSIer。

日本のIT業界におけるSIerの立ち位置の例

クライアントとなる企業 ※自社では開発しない
 ↓ ※SIerへ発注
SIer企業 (1次受け)
 ↓ ※設計だけして下請けへ開発依頼
SIer企業 (2次受け) ※ソフトハウス
 ↓ ※一部分開発して他は下請けへ開発依頼
SIer企業 (3次受け) ※ソフトハウス
 ↓ ※以下ループ
場合によってはさらに下請けへ依頼…

SIerはITのシステム開発を請け負う会社と思っておけばよいかと思います。

SESの特徴

「SES」は「System Engineering Service」の略語であり、「業務委託契約」のひとつです。「業務委託契約」は、法的に請負・委任・準委任契約に分類されるのですが、SESは「準委任契約」になります。

  • 請負契約
    システム開発などで仕事の完成を目的とした契約になります。
  • 準委任契約
    仕事の完成を目的とせず、その業務遂行に対価が払われます。作業時間に対して報酬が支払いされ、一般的にはエンジニアの能力により、月額で決めることが多いです。

SESはSIerに限って使われる契約とかではなく、SIerではないWeb系の企業などでも使われる契約で、外部のリソースを使う時に使われる契約のようなものです。

Sier同士で時間単価でリソースを切り売りする目的でSESでエンジニアを出向させるケースや、Web系の企業がフリーランスを受け入れる時などもSESであることが多いです。

SES(準委任契約)は派遣とは違うので、業務の指示系統をきちんとしなければ違法な偽装派遣になってしまうので注意が必要ですが、結構あいまいな感じはします。

まとめ

SIer(システム・インテグレーター)とSES(ソフトウェア・エンジニアリング・サービス)の違いについて解説しました。

SIerは「奴隷として働かされる企業」、SESは「奴隷契約」などと、揶揄(やゆ)されることもありますが、すべてがそのように悪いわけではありません。ただ構造的にブラック労働になりやすい事実もあります。

日本のSIerを中心とした開発をする仕組みについて問題点は非常に多くあり、改善すべき必要はあります。

理想的には米国のようにユーザー企業がエンジニアを自社で雇い、内製するのが理想ですが、日本は正社員の雇用規制が強くあって無能な社員をクビにすることは容易ではなく、同じことはできない仕組みになっています。

ただ日本での開発は独自ですが、いろいろとメリットもあり、以下のような点です。

日本人エンジニアが育ちやすい環境

日本語の壁によって、外国人エンジニアが参入しにくく、日本人のエンジニアが育つ環境があり、優秀な日本人エンジニアも多いです。
ソフトウェアサービスの部分はGAFAなどに圧倒されていますが、それなりの市場規模がある日本でエンジニアが育つ環境があるのはよいことかと思います。

誰でもエンジニア・プログラマーになれる

海外では、CS(コンピューターサイエンス)の大学の学位を持っていないとエンジニアには、なれないことが多いと聞きます。日本では大学の専攻や学位は関係なく、誰でもエンジニアになれるのは弊害もありますがメリットも大きいと思います。ある意味、大学が本来の機能を果たしていないおかげで、大学のCS学位をわざわざ取りに行かなくても、誰にでもチャンスがあります。

日本のソフトウェア開発は改善すべき点が多く、悪い点ばかりが目立ちますが、すべてがダメということはないかと。

ご参考になれば幸いです。

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